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熱帯の氷河生態系
概要
熱帯にも関わらず標高5000mを越える高山には氷河が現存しています。しかしこれらの氷河は環境変動の影響を受けて急速に縮小しており、まさに消滅の危機に晒されています。
私たちのグループでは、これまでにアフリカの氷河(ケニアのケニア山、ウガンダのルウェンゾリ山地)で研究を行ってきましたが、これらの氷河は温暖化や雲に覆われる頻度の低下により,氷河の縮小が進んでいることが示されてきました.一方,北極やアジアの山岳氷河では,氷河上に生息する微生物が発見されており,その微生物が生産する暗色物質が融解を促進している現象(雪氷微生物による氷河の暗色化現象)が明らかになっています。そこで熱帯の氷河でもそのような微生物が存在するのではないかと考え,微生物学と雪氷学を融合させたフィールド調査を始めました。その結果、コスモポリタン種であるコケが単細胞の状態で氷河上に大きな塊を作る現象やそれによって反射率が低下し、世界各地の氷河で見られるように生物活動が氷河の融解を促進していました。また新種のクマムシが見つかったり、他の地域の氷河にはないユニークな特徴がたくさん発見されています。
しかし、近い将来にこの氷河が消滅すると予想されていることは,これらの生物が絶滅の危機に瀕した生物であることを意味します.消滅を回避することは不可能ですが、その様を見届けるものとして、詳細な生物の群集構造の解析を実施して、その多様性を記録しつつ、氷河環境と氷河生物のバランスを解明していきたいと考えています。
フィールド
ウガンダ、ケニア、コロンビア
関連した成果
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